ミゾカクシ属(みぞかくしぞく、溝隠属)あるいはロベリア属(学名:Lobelia)とは、キキョウ科の植物群の一部である。非常に多様な種を含む。花形は他のキキョウ科とは大いに異なり、左右相称の花をつける。
特徴
ミゾカクシ属の植物の花は、一般のキキョウ科が放射相称でツボ型、釣り鐘型の花をつけるのに対して、左右相称の唇花をつけるため、見かけでは全く異なって見える。別の科とする説もある。
花弁は下側3枚は基部で互いにつながり、先端が分かれ、全体として下側に巻いて唇弁を作る。上二弁は細くて左右に分かれ、唇弁の上側に伸びる。雄しべは雌しべの周りにしっかり巻くように並ぶ。それらは唇弁の上に伸びて、先端はやや下を向く。このような花の構造はクサトベラ科のものにも似ており、両者を類縁とする説もある。
ほぼ全世界に約200種が分布し、暖帯や熱帯に多い。形態は非常に多様で、日本のものでもサワギキョウ(Lobelia sessilifolia)は直立する多年草で1mに達するが、ミゾカクシ(L. chinensis)は地を這うか細い草である。さらに小笠原諸島には低木状になるオオハマギキョウ(L. boninensis)がある。熱帯には大型になる種も多い(参照: #ジャイアントロベリア)。
ルリミゾカクシ(L. erinus)、L. richardsonii、L. validaなどが観賞用に栽培される他、ミゾカクシやサワギキョウなどは薬用植物として利用されている。
ジャイアントロベリア
アフリカには大型化する本属の草木が複数種見られ、英語で俗にジャイアントロベリア(giant lobelia)と呼ばれる。その例は以下の通りである。
- Lobelia aberdarica R.E.Fr. & T.C.E.Fr. (en) - ウガンダ・ケニア国境上に存在するエルゴン山やケニアの高地、標高1800-3300メートル地帯に生育する。
- Lobelia bambuseti R.E.Fr. & T.C.E.Fr. ロベリア・バンブセティ - ケニアのケニア山やアバーデア山地(英: Aberdares)の標高2700-3240メートル地帯に生育する。
- Lobelia bequaertii De Wild. (sv) (シノニム: L. deckenii subsp. bequaertii (De Wild.) Mabb.)- ウガンダのルウェンゾリ山地に生育する。
- Lobelia deckenii (Asch.) Hemsl. ロベリア・デケニー - タンザニアのキリマンジャロに生育する。
- Lobelia giberroa Hemsl. ロベリア・ギベロア - 紅海からマラウイにかけての標高1500-3000メートル地帯で見られる。ケニアのキクユ語では mũhehe と呼ばれる
。
- Lobelia gregoriana Baker f. (sv) (シノニム: L. deckenii subsp. keniensis Mabb.、L. keniensis R.E.Fr. & T.C.E.Fr. (en) ) - ケニア山に生育する。この草本が生育する環境は氷点下となることもあるが、数百枚の苞葉が積み重なって塔状となり、奥の子房を守る。
- Lobelia lukwangulensis Engl. (sv) - タンザニアのウルグル山地の標高1900-2450メートル地帯に生育する。
- Lobelia mildbraedii Engl. (sv) - ウガンダ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、タンザニア、マラウイ、ルワンダの標高2000-3000メートル地帯に生育する。
- Lobelia morogoroensis E.B.Knox & Pócs (sv)
- Lobelia rhynchopetalum Hemsl. (en) - エチオピアのシミエン山地(関連項目: シミエン国立公園)に生育しており、ジャイアントロベリアの中では最も高く生長する種で、茎は木の幹のようになるが、あくまでも草である。
- Lobelia stricklandiae Gilliland (sv) - 中央アフリカ南部の標高約1500メートル地帯に生育する。
- Lobelia stuhlmannii Schweinf. ex Stuhlmann (sv) (シノニム: L. lanuriensis De Wild.)- ウガンダ西部、コンゴ民主共和国、ルワンダの標高2900-3900メートル地帯に生育する。
- Lobelia telekii Schweinf. ロベリア・テレキイ - エルゴン山、ケニア山、アバーデア山地の標高2950-4550メートル地帯に生育する。
- Lobelia wollastonii Baker f. (sv) - ウガンダ・コンゴ民主共和国国境のルウェンゾリ山地やウガンダ・コンゴ民主共和国・ルワンダ国境のヴィルンガ山地、標高3350-4250メートル地帯に生育する。
- Lobelia xongorolana E.Wimm. (sv) - アンゴラの標高1500-1800メートル地帯に生育する。
主な種
和名や学名カナ表記の横の注は、その呼称が見られる出典を表す。
ギャラリー
ジャイアントロベリア:
それ以外のもの:
脚注
注釈
出典
参照文献
英語:
- Coe, Malcolm J. (1989). “Biogeographic affinities of the high mountains of tropical Africa”. In Mahane, William C.. Quaternary and Environmental Research on East African Mountains. Rotterdam: A. A. Balkema. pp. 257–278. https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=z9JPAQAAIAAJ&dq=giant lobelia telekii&focus=searchwithinvolume&q=Eambuseti NCID BA06898303
- Knox, Eric Boyd (1993). Evolution of the Giant Senecios and Giant Lobelias in Eastern Africa. University of Michigan. https://books.google.co.jp/books?id=FmQeAQAAMAAJ&q=morogoroensis Abstract Knox Pocs&dq=morogoroensis Abstract Knox Pocs&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjq5cbjmorcAhWMurwKHfQWCB8Q6AEIJzAA (https://hdl.handle.net/2027.42/103434)
- The Plant List (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ (accessed 7th July).(正名とシノニムの関係はこれに拠った。)
日本語:
- 冨山稔『世界のワイルドフラワーI 地中海ヨーロッパ/アフリカ マダガスカル編』学研、2003年。ISBN 4-05-201912-1。
- クリストファー・ブリッケル 編『A-Z園芸植物百科事典』横井政人 監訳、誠文堂新光社、2003年、626–628頁。ISBN 4-416-40300-3。
- 米倉浩司; 梶田忠『BG Plants 和名-学名インデックス (YList)』2003–2021。http://ylist.info。2018年7月7日閲覧。
外部リンク
- ロベリアとは|育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸(NHK出版)


![ミゾカクシ [毒] 山菜図鑑](https://sansaizukan.com/wp-content/uploads/2021/01/mizokakushi-320x180.jpg)

