世自在王仏(せじざいおうぶつ)は、大乗仏教の信仰対象である如来の一尊。法蔵菩薩(阿弥陀如来)の師仏とされる。梵名は「ローケーシュヴァラ・ラージャ」(Lokeśvararāja)。その意は「世間において自在である王」、「世間の中の自在者の王」であり、「世自在王」と訳される。別名は、音写された「楼夷亘羅」と、意訳された「世饒王仏」(せにょうおうぶつ)がある。
法蔵菩薩が「嘆仏偈」(「讃仏偈」)で讃嘆し、「四十八願」・「四誓偈」(「重誓偈・三誓偈」)で誓いを述べた相手である。ローケーシュヴァラ(Lokeśvara)という語はシヴァ神や観世音菩薩に対しても用いられている。また『ローケーシュヴァラ讃』(Lokeśvararāja-stava)という書物が存在している。
今をさかのぼること無数劫という遥か過去の時代の仏で、『無量寿経』のサンスクリット本『スカーヴァティー・ヴィユーハ』では「ディーパンカラ」から過去にさかのぼること81番目にローケーシュヴァラ・ラージャという名の如来(世自在王仏)が世に出られたと説かれ、康僧鎧による漢訳『仏説無量寿経』では「錠光如来」より54番目に世自在王仏が興出されたと説かれ。世自在王仏より前に興出された仏たちを「五十三仏」という。
脚注
参考文献
- 中村 元、早島鏡正・紀野一義 訳注『浄土三部経』 上、岩波書店〈岩波文庫 青306-1〉、1990年8月。ISBN 4-00-333061-7。
- 山口 益、桜部 建、森三樹三郎 訳『浄土三部経』(再版)中央公論新社〈大乗仏典6〉、2010年4月。ISBN 4-12-203993-2。
- 藤田宏達 訳『新訂 梵文和訳 無量寿経・阿弥陀経』法藏館、2015年5月。ISBN 978-4-8318-7077-3。
関連項目
- 仏の一覧
![国宝彫刻|誕生釈迦仏立像・ 灌仏盤 [東大寺/奈良] WANDER 国宝](https://wanderkokuho.com/wp-content/uploads/2020/05/201_00216-1218x2048.jpg)


