『ビヨンド・スタンダード』(Beyond Standard)は、ジャズ・ピアニスト上原ひろみが2008年に発表した5作目のスタジオ・アルバム。『タイム・コントロール』(2007年)に引き続き、デヴィッド・フュージンスキーらを迎えたHiromi's Sonicbloomというプロジェクト名義の作品となった。原盤権を持つレーベルはテラークだが、日本のユニバーサルミュージックから先行発売され、DVD付の初回生産限定盤もリリースされた。
背景
キャリア初のスタンダード・ナンバー集で、「朝日の如くさわやかに」と「キャラヴァン」のカヴァー、それに自作曲「XYZ」のセルフ・カヴァー「XYG」は、前スタジオ・アルバム『タイム・コントロール』録音の時点で構想されていた。「アイ・ガット・リズム」は、上原が初めてオスカー・ピーターソンと会った時に弾いた曲で、2007年に死去したピーターソンへのトリビュートとして録音された。
「レッド・ブーツ」はジェフ・ベックのアルバム『ワイアード』(1976年)収録曲のカヴァー。なお、上原が持っていた『ワイアード』のCDには傷による音飛びがあり、それがアレンジに反映された。
日本盤ボーナス・トラック「リターン・オブ・カンフー・ワールド・チャンピオン」は、2007年12月の国際フォーラム公演におけるライヴ録音。また、初回生産限定盤に付属したDVDには、2007年2月の原宿クエストホール公演の演奏が収録された。
反響・評価
日本では2008年6月9日付のオリコンチャートで10位を記録し、第50回日本レコード大賞では優秀アルバム賞を受賞した。アメリカでは『ビルボード』のコンテンポラリー・ジャズ・チャートで16位を記録。
Hal Horowitzはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「ひろみの鍵盤奏者としての著明な才能を示している、気品があり印象的なセットで、なおかつ原曲の構成の脈絡を失うことなく、ソロ・プレイをバンドのフォーマットに組み込む優れた才能も示している」と評している。
収録曲
- イントロ〜朝日の如くさわやかに - Intro: Softly as in a Morning Sunrise - 0:28
- 朝日の如くさわやかに - Softly as in a Morning Sunrise - 7:27
- 作曲:シグマンド・ロンバーグ
- 月の光 - Clair de Lune - 7:23
- 作曲:クロード・ドビュッシー
- キャラヴァン - Caravan - 8:47
- 作曲:デューク・エリントン、ファン・ティゾール
- 上を向いて歩こう - Ue Wo Muite Aruko - 8:41
- 作曲:中村八大
- マイ・フェイヴァリット・シングス - My Favorite Things - 7:46
- 作曲:リチャード・ロジャース
- レッド・ブーツ - Led Boots - 6:31
- 作曲:マックス・ミドルトン
- XYG - XYG - 6:29
- 作曲:上原ひろみ
- アイ・ガット・リズム - I've Got Rhythm - 5:51
- 作曲:ジョージ・ガーシュウィン
日本盤ボーナス・トラック
- リターン・オブ・カンフー・ワールド・チャンピオン - Return of Kung-Fu World Champion - 10:18
- 作曲:上原ひろみ
初回生産限定盤DVD
- ディープ・イントゥ・ザ・ナイト - Deep into the Night
- タイム・ディファレンス - Time Difference
参加ミュージシャン
- 上原ひろみ - ピアノ、キーボード、シンセサイザー
- デヴィッド・フュージンスキー - ギター
- トニー・グレイ - エレクトリックベース
- マーティン・ヴァリホラ - ドラムス
脚注




