ラーオメドーン(古希: Λαομέδων, Lāomedōn)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してラオメドンとも表記される。

トロイアの王イーロスとアドラーストス(テーバイ攻めの七将の一人のアドラーストスとは別人)の娘エウリュディケー(オルペウスの妻とは別人)の子で、河神スカマンドロスの娘ストリューモー、オトレウスの娘プラキアー、あるいはレウキッペーを妻とし、ティートーノス、ラムポス、クリュティオス、ヒケターオーン、ポダルケース(プリアモス)、ヘーシオネー、キラ、アステュオケーを、またニュムペーのカリュベーとの間にブーコリオーンをもうけた。またプロクレイア、アイテュラ、アンティゴネー、アイゲステーなどの娘がおり、一説にガニュメーデースもラーオメドーンの子供であるという。

神話

トロイアの城壁

神話によるとラーオメドーンの傲慢さを試すため、アポローンとポセイドーンは人間に化けて1年の間ラーオメドーンに仕えた。ラーオメドーンは両神を酷使し、トロイアに城壁を築かせた。しかし城壁が完成したときラーオメドーンは報酬を払わないばかりか、両手を縛って売り飛ばすと言い、両耳を切り落とす仕草をして、脅して帰らせようとした。両神は怒り、アポローンはトロイアに疫病を起こし、ポセイドーンは海の怪物を送り込んだ。怪物は高潮に乗って陸に上がり、人々を襲って喰らった。

ラーオメドーンが神託に問うと、娘のヘーシオネーを怪物に捧げれば救われると告げた。ラーオメドーンは仕方なくヘーシオネーを海岸の岩に縛った。一説に神託はトロイアの処女を捧げなければならないと告げたので、全ての処女を犠牲にした後に、最後に残ったヘーシオネーも怪物に捧げたという。

ヘーラクレースとの戦争

ヘーラクレースはゼウスがガニュメーデースの代償にトロース王に与えた神馬を欲しいと思っていたので、アマゾーンの国から帰る途中にトロイアに立ち寄った。そしてヘーシオネーが海岸に縛られているのを見て、トロースの馬を報酬にくれるならば怪物を退治すると申し出た。そこでラーオメドーンは承諾し、トロイア人とアテーナーは土を盛り、ヘーラクレースが怪物と戦うための防壁を築いた。ヘーラクレースは怪物の腹の中に入り込み、3日も胃の中にいたので頭がはげてしまったが怪物を倒した。こうしてヘーラクレースはヘーシオネーを助け出したが、ラーオメドーンは報酬を与えるのを拒んだ。ヘーラクレースは怒り、いつか復讐すると告げてトロイアを出航した。

後にヘーラクレースが軍を率いてトロイアに攻めてきたとき、ラーオメドーンは船を攻撃し、留守を守っていたオイクレースを殺したが追い返され、トロイアを包囲された。そしてテラモーンに城壁を破られ、攻め落とされた。ラーオメドーンはヘーシオネーとポダルケースを除く子供たちとともに射殺された。

系図


脚注

注釈

出典

参考文献

  • アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
  • ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
  • ホメロス『イリアス(上・下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
  • カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 英雄の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年)
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)

レ・オルメ 4 もう、

ラールーン

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